研究概要 |
平成21年度は,入力用ハードウェア(H/W),ひずみ検出回路,A/D変換回路,アプリケーションソフトウェア(S/W)の構成要素を個別に試作した。さらに,各パラメータを検討し,以下の順で実験システムを構築した。 はじめに,提案システムの実装対象として,組込み機器標準開発プラットフォームであるT-Engine/SH7727を購入し,開発環境を準備した。また,指で押す力を最大5Nと見積もり,それ以下の荷重では微小な曲げひずみを生じるが永久ひずみは残らない筐体とセンサとして,アルミ薄板とひずみゲージを選定した。 次に,準備した装置および開発環境を用いて,入力用H/W,ひずみ検出回路,A/D変換回路,検証用アプリケーションS/Wを試作した。ひずみゲージを枚数や位置を変えてアルミ製のケースに貼った入力用H/Wを数種試作し,押しやすさやひずみ量を調べた。その結果,利用者が直接触れない内側にのみゲージを貼る方法で,板を十分に薄く長くして生じるひずみを大きくし,検出感度を改善して採用することとした。 実験では,一連の入出力動作の検証システムを構築することを最優先に,検出回路基板とT-Engineとを内蔵可能な直方体のアルミケース内側にゲージを貼ったH/Wを用いて,動作検証を行った。ひずみ検出回路およびA/D変換では,入力H/Wに0.1N刻みで最大5Nまでの集中荷重を与え,荷重/出力電圧が線形性を保ちつつ,8ビットのA/D変換で収まるよう調整した。 さらに,入力インタフェースとしての有効性を検証するため,指で押して操作するアプリケーションS/Wを数種試作した。このうち,試作システムを表示画像の操作に関連付けたS/Wでは,押す強さに応じて画像のスクロール速度を変え,どの側面を押すかによってスクロールされる向きを変えることで,直感的な操作を実現した。
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