研究概要 |
平成22年度は,昨年度に試作した入力用ハードウェア(H/W),ひずみ検出回路,A/D変換回路,アプリケーションソフトウェア(S/W)の改良と,それらを連携した実験システムの構築に,以下の手順で取り組んだ。 はじめに,組込み機器標準開発プラットフォーム:T-Engine/SH7727にリアルタイムOS:T-Kernel/Standard Extensionを搭載した開発環境にタッチパネル付きLEDを実装した。タッチパネルの設置面をのぞく5面すべてを覆いつつ片手で持てる形状となるようにアルミ製のケースを取り付けた。このアルミケースの側4面すべての内側,面中央に,ひずみゲージをそれぞれ1枚ずつ貼り付けた。ひずみ検出回路とAD変換回路をT-Engineにシリアル接続し,回路基板や配線類をすべてアルミケース内に設置・収納した。これにより,筺体の側面を押すとタッチパネルモニタに出力が表示される入出力I/Fを備えた小型情報端末の実験システムを構築した。 次に,入力を表示画像の操作に関連付けた検証用アプリケーションS/Wを実験システムに実装して;組込みOS関連の展示会に出展し,デモンストレーションと評価実験を行った。その結果,実験システムのケース自体は,30時間以上の連続使用時でも永久ひずみが残りにくいこと,万一ひずみが残留しても簡単なキャリブレーションにより回路側およびソフトウェア側で調整できることを確認した。しかしながら,手の小さい女性や子供が操作するにはケースがやや大きく取り扱いにくいこと,指で押した際のフィードバックが少ないことなど,使いやすさに関する課題も明らかになった。さらに,ケース内部に回路基板設置用の十分なスペースを確保していなかったため,利用者が持ち上げた際に接触不良を起こしやすいという構造的な問題も見つかった。 以上より,本提案が基本的な構成で動作することを確認するとともに,新たな課題を明らかにした。
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