研究課題/領域番号 |
21500137
|
研究機関 | 京都工芸繊維大学 |
研究代表者 |
岡 夏樹 京都工芸繊維大学, 工芸科学研究科, 教授 (20362585)
|
キーワード | 機械学習 / 認知科学 / 人工知能 / 知能ロボティクス / エージェント |
研究概要 |
「人」-「発達システム」-「環境」の3項間の自然なインタラクションを通した認知発達メカニズムの構成的な解明に向けて以下の研究成果を得た。 1.語意獲得メカニズムの解明:言葉と状況の共起度数に基づいて、普通名詞(物の名前)の意味と指示詞の意味を並行して獲得するモデルを用いて、様々な条件下における学習の進行のしかたを実験的に調べた。また、語彙爆発の学習曲線を説明できるモデルの構築を行った。さらに、動作を命令する言葉の意味を組合せ合成可能な形で獲得できる方式の検討を開始し、終助詞の意味獲得モデルの構築にも着手した。 2.愛着を引き出すインタラクションの設計:自己創出的な発達の実現のために、人に相手をしてもらいながら知識獲得を長期間続けることが必要であると考え、愛着を引き出すインタラクションの設計を試みた。ロボットが母親語の韻律特徴の一部を識別し、母親語に対して選択的に反応する設計とすることにより、人が母親語を使うように誘導することを試み、また、この誘導を通じて愛着を引き出すことができるかを調べる実験を実施した。その結果、母親語の誘導はできなかったものの、母親語の特徴の一部を持つ発話は、ロボットに対する印象を良くする可能性があることが示された。 3.モジュール組換えアーキテクチャにおける新たな組換えの創出方式の検討:自己創出モデルの構築は、モジュールの組換えを基本演算とする計算機構により実現する計画であるが、この計算機構において、モジュールの機能の学習とその組み合わせ方の学習を並行して実行できることを、障害物回避タスクを用いたシミュレーション実験により示した。モジュールの組合せが自由にできるモデルにおいて、モジュールの機能の学習とその組み合わせ方の学習を並行して実行できることは、我々が調べた範囲では、これまでに示されたことはない。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
知識を自己創出(獲得した知識が次の知識の獲得を促進すること)できるモデルの構築に向けて、必要な要素技術の研究開発がおおむね順調に進んでいるため。
|
今後の研究の推進方策 |
知識を自己創出(獲得した知識が次の知識の獲得を促進すること)できるモデルの要素技術の研究開発を引き続き進めるとともに、それらを総合した実験システムを構築し、インタラクション実験を実施することにより、知識の自己創出が実際に可能であることを示す。研究計画の変更あるいは研究を遂行する上での問題点等は、現時点では、大きなものは存在しない。
|