研究概要 |
1.本研究の目的 本研究の目的は,プログラミングの授業におけるソースコードの盗用を発見するためのコンピュータ・システムを構築することである. 2.本研究の手法の概要 本研究では,あらかじめ作成者が明らかな複数のソースコードを用いて,その「表面的な特徴」からプログラム作成者の記述モデルを作成する.そして,新たなソースコードが得られる度に,そのソースコードの作成者とされる人物の記述モデルと照らし合わせ,ソースコードが実際に記述モデルの対象となっている作成者が書いたものであるかどうかを判定する. 3.研究実績 (1)アルゴリズムの構築 例えば,特定の記号の前後に空白を幾つ入れるか,といった記述上の特徴をモデル化する目的で,本研究では隠れマルコフモデル(HMM)を利用した.HMMの構造は,従来研究で用いたプログラミング授業の課題ソースコードから記述上の特徴を抽出し,これを元に決定した.また,未知の特徴が現れるたびに新たな記述モデルを追加するという適合学習を導入した. (2)ソースコード作成者認識システムのテスト (1)のアルゴリズムに基づいたソースコード作成者認識システムを実装した.研究室の学生のプログラムを用いてテストを行った結果,平均して80%以上の認識率が得られた. 4.本研究の意義 本手法では,従来,ソースコードの比較によってしか行えなかった盗用発見の試みを,単一のソースコードに対して行える.また,記述上の特徴を用いるため,プログラミングの授業などで作成される,短く,類似した構造のソースコードに対して利用できる.これにより,授業の円滑な進行と,提出課題の適正な評価を支援することができる.(787字)
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