(1)構造混合:EM類似の方法を用いることにより、ODEの和による近似精度が向上することが証明できた。通常のEMと異なり状況が限定されるため、グローバルな最適値に収束してもよいと推定できるが、現在のところ確認できていない。通常のEMを行うと値の悪い局所最適解に収束しやすい。原因を様々に調査したが、解明できていない。 (2)連続混合:ランダムに見える実際の時系列データに構造があるか否かを、予測が可能(random guessingよりよい)か不可能(random guessingと同等)かで調べた。当初の計画で示したように、これは外国為替の取引では、市場の効率性が成立している可能性が高く、どのような予測手法でも予測はできない、すなわち、構造がないと考えられているが、一方、市場参加者の考えることには共通性があり、いわゆるトレンドが存在する可能性もあるからである。3通りを試みた。(a)移動平均を用いる方法。様々な方法を試し、短期と長期に構造が見えやすいフィルター関数を発見した。実際フィルター後の値を用いて予測精度がrandomを超えることが分った。(b)レジームスイッチングをHMMでモデル化しSVMを用いて次状態予測を行わせると予測精度がnaiveな予想より高くなることが分った。(c)他通貨の値、oversold/overboughtの指標を組み合わせると予測精度がnaiveな予想より高くなることが分った。こうしたことから、外国為替取引データには、構造混合と連続混合の両者が存在していると考えられる。なお、(c)(b)については現在論文化を進めている。(a)についてはより慎重な取扱いを考えている。
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