研究概要 |
ドイツのアウグスブルグ大学と共同で収集した2か国間での対照可能なコーパス(CUBE-Gコーパス)の分析を進めた.今年度は,昨年度まで取り組んでいた文化と非言語行動との関連に加え,社会的関係と非言語行動との関係についてもデータ分析を進めた.まず,初めて出会う学生同士の会話と,彼らの課題遂行結果を評価する立場の人との会話とを比較した.その結果,後者の状況において,姿勢変化の頻度が減少し,より小さく,かたく緊張した姿勢が頻出することが明らかになり,社会的関係によって,姿勢の出現特徴が異なることがわかった. 次に,心理学の関連研究を参考にし,社会的関係を特徴づけるパラメータとして,Power, Sense of like mindedness, Frequency of contact, Length of relationの4つを提案した. さらに,文化的要因と社会的関係の2つの要因から会話参加者の姿勢を予測するベイジアンネットワークモデルを構築した.予備的な評価の結果,このモデルにより,国(日本,ドイツ)と社会的関係(対等な者同士の初対面の会話,目上の人との会話)との組み合わせによって,異なる姿勢が予測され,コーパスの分析でも予測結果の妥当性が確認された.この研究成果により,文化的要因のみを考慮していた従来のモデルよりも,多様な予測が可能になった. また,2009年7月に,ドイツのアウグスブルグ大学のMatthias Rehm博士と共同で,HCII2009(HCI International 2009, http://www.hcii2009.org/)においてオーガナイズドセッションを企画し,海外の研究者とのディスカッションを行った.
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