研究概要 |
本研究はこれまで進めてきた拡張文脈自由文法の漸次学習方式を基本として,効率の高い確定節文法(DCG : definite clause grammar)の学習方式を確立すると共に,この文法推論方式をセルオートマトンの自動作成や構文的パタン認識などのいくつかの分野の他の機械学習へ応用することである。平成21度の主な研究実績は次の通りである。 1.Synapseシステムに組み込まれた文脈自由文法(CFG)および確定節文法の学習方式において,これまで用いられていた最小規則(大域)探索および直列探索による規則集合の探索機能に加えて、最良優先(ビーム)探索方式を組み込み、この3つの探索戦略を比較した。この結果、CFGの学習に対する最良優先探索の有効性を確認した。 2.ブール式の充足判定(SAT)によって文脈自由文法を学習する方式を検討して実験を行い、Synapseシステムの漸次学習方式と比較した。この結果、Synapseとほぼ同様な時間でいくつかのCFGの学習ができることが判明した。この方式はSATソルバーの改良を文法合成の高速化に反映させることができるという長所をもっている。 3.本研究の学習方式を,形式言語を受理する1次元(1方向性)セルオートマトン(OCA)の学習に応用するための検討と実験を行い、いくつかの基本的な形式言語を実時間受理するOCAの規則集合の合成を行うことができた。 4.文脈自由文法および確定節文法とその規則合成方式を,幾何学図形および輪郭図形の構文的パタン認識,特にパタンの学習に応用するための検討と実験を行った。
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