本研究は、急増するベトナムからの留学生に、日本語教えるための、教材を作成するための支援をすることが目的であった。その目的を達成するために、日英並列コーパスを作成し、日本の文献で頻出する用語や表現を探し出せる表現辞典を作成することにした。 研究成果としては、日英対訳コーパスとして、6028文対を入力して、日本語文を、依存性を使ったフレーズ関数という独自の方法で、その構造を解析すると同時に意味解析もして、注釈付コーパス(annotation corpus)として完成させた。また、これに対応するベトナム語文の構造も注釈をつけた。 また、ここで登録したフレーズだけを使って、ベトナム語文を作成すると、日本語文が出力される、「ベトナム語による日本語文書作成支援システム」を完成させた。 更に、この成果をベトナム人に対する日本語教育に応用する実験も行った。実際、自分が言いたい(または、書きたい)文をベトナム語で入力すると、作成されたベトナム語文同時に、対応する日本語文も出力される。完成した辞書は、副詞句および副詞733、名詞および名詞句4140、述語構文12103である。こでは、日本語能力検定試験の2級の出題範囲をほぼカバーしている。 この辞書を使って、機械翻訳を実装するため、対訳フレーズ辞書を使った構文プログラムを実装した。まだ、辞書の登録語・フレーズ集が少ないため、汎用翻訳システムをしては使えないが、日本語初級を学ぼうとするベトナム人学生にとって、有益なシステムであることが確認できた。
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