研究概要 |
診断画像を元に数理アトラスを構築するためには、多数の幾何学的データから平均的形状を推定する必要がある。そのとき、レジストレーションの標的となるランドマークの個人差、経年差を考慮した平均値の計算法が必要となる。そこで、DNA解析に適用される配列やグラフなどの非幾何学的形状の平均値を推定する手法を、幾何学データや画像データに適用できるように拡張して、多数のデータの同時レジストレーションの数理モデルを定式化し、平均レジストレーションの概念と数値計算法を導いた。この手法に基き、個別の臓器に対して大量の3次元画像データからその平均的な形状を推定し、ランドマークから数理アトラスを安定に構築する算法を、離散フーリエ換を援用して構築した。したがって、大容量データに対する計算の高速化は既存の離散フーリエ変換を援用することが可能となった。 また、低解像度からでも高精度にレジストレーションを実現するために、画像の超解像理論をレジストレーションと同時に実現する方法を開発した。この手法は、疎なデータからでも精度よく解を計算できるため、欠けのある診断データに対しても適用可能である。 さらに、臓器の境界を3次元で抽出したものと,2次元断面で抽出した断面境界が幾何学的に異なることを解明し、正しい3次元境界を抽出する手法を開発した。これにより、レジストレーションのためのセミランドマークを幾何学的精度を保障して抽出できることになる。
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