研究概要 |
これまで高度道路交通システム(ITS)において位置特定のために検討されてきた手段(赤外線アンテナ,専用狭域通信DSRC,RFIDタグ,可視光通信等)の中から,通信可能範囲がサブメーターオーダーに収まり,維持管理のためのコストが低廉なパッシブ型RFIDタグを取り上げ,静的な通信特性の把握を行った. パッシブ型RFIDタグで利用されている周波数には,長波(125kHz~134.2kHz),短波(13.56MHz),UHF波(902MHz~928MHz)およびマイクロ波(2.45GHz)があるが,屋外での使用が前提となるので,水分の影響を受けにくく,しかも安価な短波を利用するタグ(ISO/IEC 15693に準拠した近傍型)を選択した. 通信可能範囲の把握では,パッシブ型RFIDを舗装中に設置することを想定し,厚さ3cm(幅と奥行きはどちらも30cm,)の舗装版(材質は密粒アスファルトおよび排水性アスファルトの二種類)をタグの上に何枚か置いて通信可能範囲を計測した.アスファルト版は転圧されていないことを除いて,道路で使われているものと同じである. 計測の結果,材質が排水性(空隙率は排水性舗装として一般的な値20%である)のアスファルト版をタグの上に1枚のせた場合の通信可能範囲はアスファルトをのせない場合の通信可能範囲とほぼ同じで,しかもアスファルトの枚数を2枚,3枚と増やしても通信可能範囲はほとんど変わらない(縮小しない)ことを見いだした,しかし材質が密粒アスファルトになると,通信可能範囲は排水性アスファルトの場合より小さくなる.したがって,排水性アスファルトを使った舗装中にパッシブ型RFIDを設置して測位に利用できる可能性がある. さらに,通信可能範囲の計測結果をもとにして,車線逸脱防止サービスを想定した場合のタグの配置パターンを検討した.次年度はこの配置パターンを使って走行実験を行う予定である.
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