研究概要 |
これまでITSにおいて位置特定のために検討されてきた手段の中から,通信可能領域がサブメーターオーダーに収まり,維持管理のためのコストが低廉であると考えられるパッシブ型RFIDタグ(ISO/IEC 15693準拠)を取り上げ,静的および動的な通信特性の把握を行った.通信特性の把握では,パッシブ型RFIDを舗装中に設置することを想定し,厚さ3cmの舗装版(材質は密粒アスファルトおよび排水性アスファルト)をタグの上に1枚あるいは2枚のせて通信可能範囲を計測した.これらの実験の結果,以下が明らかとなった ・静的な実験ではアスファルトの材質の影響が見られ,密粒アスファルトでは排水性アスファルトよりも通信可能範囲が狭くなること,とくに上にのせるアスファルトの枚数が増えると密粒アスファルトでは通信可能範囲が顕著に小さくなる ・平成22年度に実施した動的な実験では,タグの上に舗装版を1枚または2枚のせてその上を20km/hから80km/hの速度で車を走行させ,タグのUIDの読み取りが可能かどうかを確かめた.その結果,アスファルトの枚数,アスファルトの材質,走行速度に関わりなく読み取り可能であった ただし,平成22年度の実験ではアンテナの通信可能範囲にタグが1枚だけ存在することを前提とした読み取りモードで実験を行った.複数のタグが存在しても読み取りが可能なモードの場合には,走行速度が40km/hの場合でも読み取りの成功率は90%程度に低下する.これらの結果から,舗装中に設置されたタグの情報を車側から安定的に読み取るには,単一のタグのみが存在することを前提とした読み取りモードを採用する必要があるという結論が導かれる
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