舞台での演技やリングでのパフォーマンスなど、スタジオでは測定できない人間の迫真の動作を測定することを目的とした。ビデオカメラからの動作測定を行う際に、カメラをパンさせて広い撮影空間をカバーする。あらかじめ演技前の撮影空間に対しカメラをパンさせパノラマ画像を作成しておく。このパノラマ画像にはカメラの回転角がタグ付けされている。演技の撮影では、演技者は画像の中心付近に捉えられている。演技者の写っていない周辺画像をパノラマ画像とマッチングさせて、カメラの回転角を知ることができる。カメラを三脚に乗せ雲台を回転させたとき、カメラの視点が回転中心に一致しているとは限らない。このとき、得られたパノラマ画像に歪が生じ正確なカメラ回転角を知ることができない。 そこで、カメラ視点と回転中心のずれを測定し、パノラマ画像の歪を補正することにした。カメラ較正用の参照物体を2つ、カメラも2台用意しそれぞれ離れた位置に設置した。2台のカメラで2つの参照物体を撮影し回転前と回転後で較正を行うと、カメラの視点と回転中心のずれが2台のカメラで同時に得られる。しかし、較正されたカメラから計算される参照物体の位置が数センチずれ、期待通りの精度が得られなかった。 打開策として、カメラ中心を雲台の回転中心に物理的に一致させることにした。カメラを雲台にカメラプレートを介して取り付ける。カメラの前に2つの照準を相前後して離して置く。カメラを回転させても2つの照準の見かけの相対位置が変化しないように、カメラの位置をプレート上でスライドさせ視点を回転中心に一致させた。
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