研究概要 |
本研究は,視覚障害者が豊かな社会生活を営むための視覚機能補助システムをコンピュータビジョン技術を用いて実現することを目的としており,本年度は以下の研究を行った. (1) ATMのタッチパネル操作を誘導するウェアラブルビジョンシステム 市販のステレオカメラ,マイク・イヤフォンのヘッドセット,計算機で構成した昨年度製作のウェアラブルビジョンシステムを改良し,小型軽量化を行った.具体的には,市販のステレオカメラを用いる代わりに,小型のカメラを2台用いて,メガネのように頭部に装着できるシステムを構築した.また,インタフェースを改良し,指先誘導の速度と精度を向上させた. (2) 書籍の文章を音声に変換する書籍音読システム 昨年度は一眼レフカメラ2台を用いたシステムであったため,装置が大型であり,かつ高コストであった.そこで,安価なWebカメラを用いた書籍音読システムに改良した.具体的には,カメラの解像度などの性能が低い場合にも連続して書籍の部分画像を撮影し,画像をつなぎ合わせて高解像度の画像を生成するモザイキング処理を導入した. (3) 色覚障害者に色情報を伝える色情報提示システム 色覚障害者にとって判別困難な色の組み合わせを有する対象をカメラ画像より自動的に検出し,互いに判別可能なように文字・線・色の塗り潰しなどにより,補助情報を撮影対象にプロジェクタで投影するシステムを作成した.また,色情報提示システムと対象の位置関係が刻一刻と変化する場合にも対応し,補助情報を常に更新しながら高速に投影し続けるシステムを構築した.
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