研究概要 |
本研究は,視覚障害者が豊かな社会生活を営むための視覚機能補助システムをコンピュータビジョン技術を用いて実現することを目的としており、本年度は以下の研究を行った。 (1)ウェアラブルビジョンシステムによるATMのタッチパネル操作 小型のカメラを2台用いてメガネのように頭部に装着できるセンサー部と、マイク・イヤフォンのヘッドセット、計算機で構成されるウェアラブルビジョンシステムを用いて、ATMのタッチパネル操作を模した検討を行った。本方式をより実用に近づけるために、これまでよりも小さなサイズのボタンの画面を用いた操作実験を行った。その結果、小さいボタンを操作する場合は、指先の位置と目標ボタンの位置の一致音を提示する空間中の範囲がかなり狭くなったため、ボタンを押す直前でずれてしまうことが多く、大きいボタンを操作するときに比べて操作時間が長くなってしまった。しかし、高い確率で正しくボタンを操作することは可能であることがわかった。 (2)書籍の内容を音声に変換する書籍音読システム 原稿台に置いた書籍の見開きページをステレオカメラにより3次元計測し、湾曲した書籍画面を平坦にしてその内容を文字認識可能とした上で、視覚障害者向けに音読するシステムについて、本年度は文章のみならず図表も音読することを検討した。表の読み上げ順序の提案とともに、図としては棒グラフと折れ線グラフを対象とした認識アルゴリズムの検討を行った。 また、書籍画像中の本文、ページ番号、ヘッダーやフッダーの領域を自動検出し、音読する順番を決定するアルゴリズムの検討を行った。
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