研究概要 |
本研究は,予測型安全運転支援システムを実現するために必要となる基盤技術の確立を目指すものである.実現する技術内容は,(1)環境認識(静的障害の検出),(2)状況認識(自車周囲の動的障害の検出・認識・追跡),(3)静的・動的障害に関する情報の統合による危険予測と対応措置の判断,(4)運転者への情報提供の4層(4つの課題)からなる.平成22年度は,主に状況認識層について研究開発を行った. 得られた成果 状況認識層の中核になる技術は,自車前方にある動的障害(主に歩行者)の検出・認識である.これに関して,我々は,オブジェクトの2次元画像特徴と,スパース・マッチングにより得られた3次元奥行き情報をマルチキューモデルの下で統合し,高速で効率的な検出手法を開発した.この研究で開発した手法を,現在最も優れているとされるシカゴ大学の手法と比較すると,平均精度はほぼ互角のところ,処理時間を5分の1に短縮した.また,動的障害の追跡において,移動物体領域には空間的連続性および時間的連続性があるという特徴に注目し,それらをそれぞれマルコフ確率場(MRF),隠れマルコフモデル(HMM)を用いてモデル化することにより,追跡の安定性(ロバスト性)を大幅に向上させることができた.その研究成果は,国際学術論文誌ICIC Express Letters,国内会議MIRU2010等で発表した.また,国際会議MVA2011で発表する予定である.電子情報通信学会英文誌にも投稿した.今後,実時間処理を目指して手法の高速化・最適化を実施する予定である.
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