研究概要 |
本研究開発では,予測型安全運転支援システムを実現するために必要となる基盤技術の確立を目指した.開発技術内容には,(1)環境認識(静的障害の検出),(2)状況認識(自車周囲の動的障害の検出・認識・追跡),(3)静的・動的障害に関する情報の統合による危険予測と対応措置の判断,(4)運転者への情報提供の4層(4つの課題)が含まれる.平成23年度も22年度の成果をベースに,主に状況認識層について研究開発を行った. 得られた成果 状況認識層の中核技術は,自車前方にある動的障害(主に歩行者)の検出・認識である.我々は平成22年度までに,オブジェクトの2次元画像特徴と,スパース・マッチングにより得られた3次元奥行き情報をマルチキューモデルの下で統合し,非常に高速で安定性も高い認識手法を開発した. 平成23年度は,同手法に領域分割を用いた「顕著性マップ」を導入し,人間が注意すべき特定の画像領域に集中して状況認識を行う手法を開発した。これにより,瞬時の判断が必要な場合に,より高速に状況を判断し,また,多数の歩行者が存在する等,複雑な状況においても,危険度に応じた状況認識を実現することが可能となった.また、状況認識手法の実用化を目指し,さらなる高速化・安定性向上に取り組んだ。研究成果は,電子情報通信学会英文誌,国内会議MVA'11等で発表している. なお,本研究開発では,障害の検出,特に動的障害の検出については計画を上回る成果を挙げたが,危険予測・対応措置の判断方式については検討レベルにとどまり今後の課題となった.
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