研究概要 |
本研究の目的は,コンピュータビジョン技術の応用において最も基本的かつ重要な技術の一つである画像間の対応付け問題を解決することである.現在さまざまに提案されている高精度な形状復元法においては,画像間の正しい対応が求められていることが前提であり,誤っている対応が含まれていると,復元に必要なパラメータの計算に失敗したり,復元できたとしてもその精度が急激に低下することになる.本研究では,画像間の対応付けにおいて特に困難とされている,規則的なテクスチャを含む画像,離れた位置で撮影した画像,ほとんど特徴のない布状の物体の画像,内視鏡による腸管の画像などを対象とし,そのような画像からの特徴の抽出,不変性を持つ特徴記述を提案し,効率の良い対応付けに関して研究を進めた. 本年度は,まず,規則的なテクスチャを持つ画像,例えばタイルの張られた壁などの画像における対応付け法の精度向上を図った.ここでは規則的なテクスチャ領域の高精度な抽出のために,特徴量空間におけるクラスタリングを用いた方法について国内学会で口頭発表するだけでなく,その改良版として幾何学的AICと呼ぶ評価基準を利用した超平面検出による手法を提案し,国際ワークショップにて発表を行った.また,昨年度の成果である腸管画像間の対応付け法の展開および応用としこ,腸管のCTデータから展開画像を生成し,その特徴を評価するための周波数解析法を口頭発表した.また,昨年度成果による腸管形状復元はその形状に大きな歪みがある場合があり,短い形状しか復元できなかったが,より高精度かつより大きな腸管形状を復元するために,2画像のみから復元した形状の歪みの定量的な評価方法を開発し,実画像によりその有効性を確認した.この形状評価法に関しては,国内学会および国際学会への論文投稿を行った.
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