研究概要 |
本研究では,草木などの揺れにより背景領域を物体として検出してしまう問題と,背景色と同じ物体は抽出することが出来ない問題に対して,人物領域を安定に抽出する方法を開発する.しかしながら,この2つの問題はトレードオフの関係にあり,草木の揺れなどに対応しようとして,安易に背景の範囲を広げてしまうと,背景色が多くなり,物体の検出率が落ちてしまう.そのため,検出率を低下させないためには,物体領域に関する何らかの事前知識が必要となる.そこで,最終年度の本年においては,構築したアルゴリズムの性能評価を行った. 具体手には,実際の映像データを利用して,構築したアルゴリズムの性能評価を行なった.また,その結果を元に前年度までに開発したアルゴリズムの改良を行なった.また,その際に,人物領域欠損パターンデータと人物領域完全パターンの組み合わせをどれくらいまで圧縮可能であるかを評価した.データベースの検索キーは,入力画像と背景画像からの差分により得られた人物像であり,この検索キーを用いて入力画像の人物像と近い事例パターンを探し出し人物領域完全パターンと置換えることで,安定な抽出を行なう.しかしながら,全ての人物像のパターンを事例として集めることは困難であり,また,多少の入力パターンの変動を許容したモノでなければ最終的な抽出精度が期待できない.そこで,事例データベースの中にどれくらい事例があればよいのか,また,その事例数で人物領域抽出が有効であったかを同時に検証した.さらに,3次元モデルを利用した人物領域抽出手法との比較を行い,事例データベースに基づく手法でも数値的には遜色のない抽出性能を得られることが分かった.
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