研究概要 |
1.誤差のあるデータからの幾何学的計算の最適化手法 前年度に反復を伴わない最適化手法として,最小二乗法の精度を飛躍的に向上させる「超精度最小二乗法」を提案したが,それをさらに「超精度くりこみ法」とよぶ反復手法に発展させた.これは申請者が以前に提唱した「くりこみ法」の精密な誤差解析による高精度化である.そして,これを画像中の円形物体の識別のための楕円の計算,画像の対応点から3次元復元を行うために基礎行列の計算,および平面物体の3次元復元のための射影変換の計算に適用し,これまで最も精度が高いとみなされていた最尤推定(再投影誤差最小化)を上回る精度であることを発見した. 2.非一様な誤差のある3次元位置データからの3次元運動の計算 ステレオ視やレンジファインダーなどの3次元センサーによって計測した3次元位置は,センサーの種類や位置,向きに依存する非一様,非等方の誤差が生じる.空間中を移動する3次元点に対して,そのような誤差のある運動前後の3次元位置からの3次元運動の正確に推定する手法として,まず回転に対しては申請者が以前に提唱したくりこみ法の改良,回転のリー代数表現や四元数表現によるレーベンバーグ・マーカート法を比較した.次に並進やスケール変化を含む相似変換の計算法として,ガウス・ニュートン法とガウス・ヘルマート法を比較し,ガウス・ヘルマート法を変形した改良ガウス・ヘルマート法と呼ぶ手法を考案した.そして,シミュレーション実験によって,提案する改良ガウス・ヘルマート法が既存の手法の中で収束特性において最も優れていることを確認した.さらに地震による地盤の移動を計測したGPSデータの解析に応用した.
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