従来、伝承により弟子に受け継がれてきたフレットレス邦楽楽器(津軽三味線等)の伝統音楽を、今回開発した「自動採譜装置」を使って演奏し、自動的に楽譜を生成する事を可能とした。その構成は、三味線にピックアップを備えた"エレクトリック三味線"部と、この音源から譜面を自動的に作成する"音源自動採譜装置"部から成る。更に、自動採譜装置は、・三味線音源、・音源周波数解析処理、・三味線音階解析処理、・採譜処理、・速度指定装置で機能が構成されている。この研究の主な目的は、 (1)日本古来の伝統音楽の正確な記録及び保存、(2)三味線譜面から西洋式譜面への展開、(3)特に譜面の読1めない、書けない素人が容易に作曲する事が可能となる。 などがあり、本研究の結果、津軽三味線音源のほぼ90%以上の確率で採譜を可能とした。その詳細は (1)伝統音楽(津軽・南部三味線)の譜面化 (2)演奏者に優しい三味線譜面つくり(音の高低の表記、音の長短の表記、楽器特有な制約事項など三味線演奏に関する各種条件を調査し、譜面化を実現 (3)三味線譜面から西洋式譜面への自動変換を実現 又、この成果の意義と重要性として、三味線弦特有の音階"つぼ"を周波数スペクトル解析しデータ・ベース化後、デジタルデータに変換して日本古来の文化譜(和様式譜面)に自動編集した結果、例えば演奏家が津軽三味線を演奏すれば、従来の西洋譜面表記では表現出来なかった伝統楽器特有の音楽が自動的に譜面化され、従来の口伝による音楽芸能伝承に比較すれば正確さが増し、古来の音楽が記録として未来永劫保存が可能となった。今迄、口述又は会話を翻訳して文章化する技術は実用化されつつあるが、音楽特に日本の伝統楽器(三味線例)音楽の記録に着目し、伝統音楽を西洋譜面のみならず、文化譜表記に、自動採譜化する装置はおそらくメーカーサイドでも製品化されておらず、又学会誌並びに業界誌でも発表されていない。
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