本研究はスポーツの中で演技スポーツ、すなわち選手が演技をして審判が採点することによって順位を決定するようなスポーツにおいて、動画像処理による選手の動作解析に基づいて、自動的に採点するシステムを構築することを目的としている。 本年度の実績は、選手の演技画像(1シーン、約30秒分)から「技」の判別を行うプロトタイプを開発した。具体的には 1.「演技」映像の取得し、構成する「技」に分割する(セグメンテーション)手法を構築・実装した。 2.セグメント毎に「特徴量」(各関節のフレームごとの角度)を求める新たなアルゴリズムを開発し、実装した。これは放射方向ヒストグラムに基づくものであり高精度な結果を得ることができた。 3.ルールブックで定義されている「技」を実画像と同等な特徴量で記述した。 4.以上の結果から、競技規則からデータベース化した技の特徴量と、演技画像中から抽出した特徴量を比較し、加点要素を算出することが出来た。 5.処理した動画像を専門の審判員が採点した結果と比較した。 初年度の結果は「技」の判別を行うプロトタイプを開発できたことを示している。いくつかの改善すべき課題が残されてはいるが良好な結果が得られている。次年度において、もう一つの採点要素である演技が美しく行われたかを研究の対象とすることが可能となった。
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