本研究はスポーツの中で演技スポーツ、すなわち選手が演技をして審判が採点することによって順位を決定するようなスポーツにおいて、動画像処理による選手の動作解析に基づいて、自動的に採点するシステムを構築することを目的としている。 22年度は前年度までに構築したシステムをいくつかのシーンに適用して性能を検証した。その結果を踏まえて、以下を行った。 1. 「特徴量」の新たな抽出手法として、人体の関節モデルにおいて手先から順に部分的方向ヒストグラムを求め、その極大方向から接続する関節をもとめる手法を確立した。 2. 「ルールブック」における[技]のデータベース化を行った。部分的に手動で行わなければならなかっため一部しかできなかったので自動化が課題となった。 3. 多くのシーンを解析するに当たって、演技を構成する技に分割するために体軸を検出するアルゴリズムを構築し、それに基づいて演技の技への分割を行った。 4. 3を用いて、いくつかシーンでの「演技画像」の解析によるAスコアの算出を行った。 構築したシステムはおおむね予想通りの結果であったが、選手が鉄棒のごく近傍で演技するときの精度に課題があることが判った。
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