本研究はスポーツの中で演技スポーツ、すなわち選手が演技をして審判が採点することによって順位を決定するようなスポーツにおいて、動画像処理による選手の動作解析に基づいて、自動的に採点するシステムを構築することを目的としている。 本年度(平成23年度)は前年度までに構築したシステムをいくつかのシーンに適用して得た課題を解決するために、以下の改良を行った。 1.前年度開発した選手の関節モデルを求めるための「部分的方向ヒストグラムの高速な算出法」 の高速化手法を確立した。 2.その際、体軸を検出するアルゴリズムを発展させて、選手の大まかな姿勢を表すパラメータを定め、それを求めることにより、技の演技とデータベースのマッチングが高速化、高精度化できることを示した。 3.同時に、前年度まで手動で行わなければならなかった演技の分割の自動化が達成された。 4.多くのシーンを解析した結果、「B得点」算出に必要な選手の関節角の精度が不足していることがわかり、その原因がフレームレートの不足、背景画像の変動にあることがわかった。これは30fps画像を用いるときに他のスポーツにも共通の問題であるため基礎的な検討を行った。 5.4の結果を踏まえ、あらたな背景画像更新手法と、一部フィールド画像を利用する方法を提案して実装した。 6.以上、本年度までに構築したシステムはおおむね目的を達成した。
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