研究概要 |
本研究の目的は,実際の図書館に設置され,図書館利用者と自然言語で会話し,分かりやすい情報提供が可能な図書館司書ロボットを構築することである.本ロボットは,視聴覚センサ等の知覚情報による図書館内の利用者の行動予測に基づく適切な受付行動,自然言語対話機能による利用者からの質問や要望に対し適切な受け答え,ロボット本体の動き(身体性)を活用した利用者に理解しやすい情報案内が可能な機能を備える.次の3つの目的に重点を置き,本研究を進めている.〈目的1〉知覚センサ情報に基づき,利用者の行動を推定する機能を実現する.〈目的2〉自然言語による対話機能,蔵書検索結果等の情報提供を,直感的に理解しやすいインタフェイスにより実現する.〈目的3〉本システムの独創的な特徴である睡眠/覚醒等の意識状態を表現できる意識モデルである数理AIMモデルを実装し,ロボット意識状態表現と知覚情報処理,記憶機能の動作制御を実現する. 平成22年度,大学附属図書館に図書館司書ロボットシステムを設置するとともに,上記の各目的に対して以下の機能を実現した.(1)システムを常時稼働することにより,附属図書館におけるシステム周辺のレーザレンジファインダ(LRF)から得られる距離データと,利用者の歩行データを多数収集した.(2)話しかけられやすい,対話を円滑にするユーザインタフェイスへの改良や,利用者との対話記録を多数収集した.(3)数理AIMモデルに基づく睡眠機能により,システム周辺の環境を撮影した映像データを収集した.なおデータ収集の際には,附属図書館との調整により,利用者のプライバシー保護を考慮した方法で行った.またロボットの身体性の利用として,レーザポインタによる蔵書への道案内手法等の基礎検討も行った.平成23年度には収集したデータに基づき,システムの機能拡充を行う予定である.
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