研究概要 |
我々は,実用的スケッチ入力インタフェース(スケッチ入力IF)の実現を目指し,「曖昧さ」を情報として積極的に活用するユニークで一貫したコンセプトに基づき,基本アルゴリズムからユーザIFに至るまで,手書き図形入力技術の研究を体系的に進めている.本研究課題では特に「図形を表現する描画動作」と「ジェスチャを表現する描画動作」を弁別するアルゴリズムの確立を図り,これにより「図形描画」に加え「ジェスチャによる指示」までも描画動作だけでシームレスに行える格段に高機能なスケッチ入力IFの実現を図ろうとしている. 本年度の成果として,下記のとおり,「書描弁別法」(2次元/3次元兼用)を確立し,さらにそれをもとに「ジェスチャ操作可能スケッチ入力IF」を実現した.次年度以降は,今回開発したIFを我々が既に開発している2種のスケッチ入力CADシステムに実装することで,実務的な幾何作図作業における実用性を検証する. 1.書描弁別法の確立 「書ストローク」と「描ストローク」の違いを検出する合理的な方法として「ファジースプライン曲線分割法」を応用し,2次元/3次元兼用のスケールフリーな汎用的書描弁別法を確立した. 2.サイズ効果償時間伸縮モデルの構築 書描弁別法は基本的には描画サイズに依存しないが,同じタイミングで描画しているつもりでも描画サイズが大きくなるに従い,人の実際の描画スピードは遅れ気味になる.このサイズ効果による書描弁別法の見掛けの特性の変化を補償するためのニューラルネットモデルを実現した. 3.ジェスチャ操作可能スケッチ入力IFの実現 上記1.および2.の成果をベースに,「書描弁別法」,「図形認識エンジンFSCI」,および既存の「文字認識エンジン」を中核とするジェスチャ操作可能なスケッチ入力IFを試作し,2次元環境および3次元環境の両方で「幾何曲線入力」と「コマンド入力」を描画動作だけで区別して入力できることを確認した.
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