研究概要 |
マイクロ・ナノレベルである微小物体の感覚量やこれまで不適であった皮膚などを用い,実物体と仮想物体の重畳的画像から複合現実感を提示・教示する感覚モダリティシステムを構築し,人間の不定な感覚量を新たな感覚モダリティとして提供し,伝えることのできるコミュニケーション支援システムを提案するために,当該年度では,微細物体の力覚(反力)および視覚のシミュレータ,顕微操作操作および触覚システム,また,意識と情動を表出するコミュニケーションシステムの構築を行った. 開発したハプティックデバイスは,対向させたネオジムマグネットで作られる磁束と,その間に線輪を置いた可動線輪型ハプティックデバイスを提案する.この形式のアクチュエータは,慣性モーメントを小さく,高い発生力を有することができるため,幅広いバンド幅が得られ,結果,反力や弾性に関わる幅広い制御剛性を実現し,触覚部にカンチレバーを搭載して,微細物体の力覚(反力)を検知し,顕微操作操作および触覚システムを構築することができた.さらに,カンチレバーをRS-232C通信ポートを介して接続されたピエゾステージ制御コントローラとともに,顕微鏡画像処理インターフェイスよって,顕微鏡に取り付けたデジタルカメラからの微細物体の映像をリアルタイム処理する.取り込んだ画像をグレースケール化し,平滑化やエッジ抽出,二値化などの処理を経てカンチレバー部のみ抽出し,カンチレバー部分をトラッキングしながら変形を追うことで現在の試料の硬さを測定する.また,カンチレバー部のみのトラッキングを行うことで,画像処理範囲を少なくし,効率化を図った. このようなシステムを用いて,人体の産毛(直径13μm)の力覚を計測できることができ,触れる感覚の模擬を可能とするシステムであることが検証できた.
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