研究概要 |
基礎概念を整理し、標準デーム力学系をN人系、マルコフ系、連続系へ拡張したモデル解析しました。 (A)N人ゲーム力学系の解析 : N人ゲーム力学系の利得行列はN人のプレイヤーどうしを結合するN層の複雑ネットワークとなり、モデルデザインが困難です。そこで(1)最も単純なネットワークである格子モデル、(2)プレーヤーのランダム選択から導かれる大域結合モデルを考察しました。Nが非常に大きい大規模系については各要素の適応ダイナミクスとして離散力学系(写像)を用いました。拡張モデルは結合写像系、大域結合写像系となり、進行波、時空カオス、時空間欠性といった高次元の非線形現象が観察されました。 (B)マルコフゲーム力学系の解析 : プレイヤーを確率分布でなくマルコフ系でモデル化します。最初のステップとしては二人の2×2行列ゲームにおいて各プレイヤーを単純マルコフ系でモデル化した場合を考えます。この場合状態変数は条件付き確率xi|ij=Prob(X=i|X=i, Y=j)となり標準ゲーム力学系がマルコフ記憶を含む形に拡張されます。ここではプレーヤーXはプレーヤーXとプレーヤーYの行動を把握しているが、プレイヤーYはプレイヤーXの行動の情報を持たない、といった非対称な情報構造を持つゲーム力学系の振る舞いの変化を考察しました。Nihat Ay (MPI-Leipzig)とともに、情報理論的な解析も行いました。 (C)連続ゲーム力学系の解析 : 行動が連続無限の系について、確率密度関数を混合戦略の表現としてモデル化を行いました。記憶は拡散的に損失すると仮定すると、拡張モデルは反応拡散系に類する偏微分方程式系となります。二次元空間での追従ゲームのような相互作用に限定することにより具体的なモデル方程式系を与えました。現在この系の解析を進めています。
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