研究概要 |
条件付き確立場は,識別モデルとランダムフィールドの融合された典型的形である。一方識別モデルの学習では,二次最適化法を用いたサポートベクトルマシンが成功している。本研究では,条件付き確立場において二次最適化法をサポートベクトルマシンと同様の形で適用し,画像処理のような複雑な分布の学習に対応できる学習機械を目指して研究を行った。従来このような考え方での研究もあるが,対象として用いているのは,表現能力の小さいグラフィカルモデルであり,一般的なモデルに関する学習は未解決である。この状況を受けて,本研究では一般的モデルの学習法を理論とアルゴリズムの両面で確立した。解決すべき点は,条件付き確立場の計算がNP困難であるため近似モデルの作成が必要である。ナーブな平均場近似では,高次相関をモデル化できず近似精度は良くない。そこで,二次平均場近似を提案し理論を構築した。さらに,平均場近似モデルで効率的な学習を行うためには,平均場を表すカーネルの一次結合の平均が,カーネルの中の変数の平均場で置き換えられなくてはならない。これは一般的カーネルでは不可能であり,この性質を持つカーネルは自明な線形カーネルのみである。そこで,本研究では一般的カーネルと同じ性能を持ち計算効率も良い対称式カーネルを考案した。このカーネルは,通常の多項式カーネルよりもサホートベクトルマシンで比較すると識別性能が上がることを確認した。また計算量は通常の多項式カーネルとオーダ的には同じであるが,次数が増えると計算量は応用状かなり増えることも問題点として分かった。この欠点も改善しながら,応用を行って行くのが今後の課題である。
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