研究概要 |
条件付き確率場は,識別モデルとランダムフィールドの融合されたものである。識別モデルの学習において,二次最適化法を用いたサポートベクトルマシンに対応する学習法である。本年度は,前年度において確立したカーネル条件付き確立場の性能を評価し,また画像処理への応用を考えることを目指して研究を行った。識別モデルとして最も代表的なサポートベクトルマシンは,その識別能力が高く広く用いられている。そこで,顔検出問題に対し,サポートベクトルマシンとカーネル条件付き確率場を同一条件で適用し,両者の性能を評価することにより,カーネル条件付き確率場の識別器としての性能がサポートベクトルマシンよりもかなり性能が向上することを確認した。これに基づき,アスベスト検出への応用を行い,実用的な検出率が得られることを示した。またKTHデータベースによるビデオ画像の識別問題を条件付き確率場により行った。この問題では世界トップクラスの識別率を出ししかも,処理時間は短く実時間応用が可能な手法を提案できた。条件付き確率場の応用を広げるため,タンパク質二次構造予測問題についても検討し,まずはサポートベクトルマシンにより,一定の性能が得られることを示した。この問題には本手法が適用でき,その成果が期待できるのであるが今年度はこの成果に基づいて予備実験の準備を行った。医用画像への応用と合わせて次年度にこれらの応用を検討する。
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