研究課題/領域番号 |
21500222
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研究機関 | 東海大学 |
研究代表者 |
尾関 智子 東海大学, 情報理工学部, 教授 (10407992)
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キーワード | ニューラルネットワーク / 機械学習 / 特異点 / ダイナミクス |
研究概要 |
機械学習は、内部にパラメータをもつ学習モデルを仮定し外部から与えられる多数の学習データに潜む法則や数学的な構造を推論するものである。学習モデルが内部パラメータを変えることにより望ましい出力を獲得していく過程を「学習」とよぶ。しかし、ニューラルネットワークなどの階層的なモデルでは学習が途中で停滞してしまうという問題を抱えている。学習ダイナミクスがパラメータ空間上に描く軌跡がパラメータ空間の特異構造にどのような影響を受けるかを解析することが本研究の目的である。 本年度は、隠れマルコフモデルの一つであるLeft-to-rightモデルにおいて、遷移確率行列が特異な性質をもちパラメータが同定不能となる場合のダイナミクスをシミュレーション実験により解析した。学習ダイナミクスにともなうパラメータ空間における軌跡が常に同じ曲線に引き込まれる様子を観測した。遷移確率行列の特異性のさまざまなパターンに対しシミュレーションを行い、同様の曲線が得られることがわかった。しかし、解析的な方法によるこの曲線の検証がまだ不十分であり、現在も研究をおこなっているところである。また、本年度は大学院生との共同研究でAdaBoostによる顔検出の特徴抽出の研究を行った。AdaBoostによる学習では過学習が起こりにくいとされているが、Haar-like特徴量を用いたAdaBoostでは顕著な過学習が見られた。この原因についても学習ダイナミクスの観点から解析中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
大学の教育・学内運営およびワークライフのバランスをうまくとることができず、研究を遂行する物理的な時間が全く足りなかった。
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今後の研究の推進方策 |
研究時間の確保に努めるとともに、学生との共同研究により研究を推進していく。
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