昨年度に作成した2次元連続空間上を群れるエージェント群のプロトタイプをもとに、細菌、線虫、昆虫などの行動特性からヒントを得たエージェントの行動ルールと視覚化について開発を進め、Cyclesと題する作品として完成させた。 インタラクティブ性の向上の一貫として、シミュレーション計算速度の向上をはかるため、昨年度に引き続き、マルチコア、グラフィックプロセッサ、ネットワーク分散などの有効利用についての検討を進め、ネットワーク接続された2台の小型パーソナルコンピュータを用いることで、数週間にわたる連続動作にも安定して対応可能なシステムを確立した。1台は、テーブルに置かれた鑑賞者の手の位置と形を認識し、輪郭線を抽出して他方のコンピュータに随時送信する。もう1台は、受け取った輪郭情報を元に、環境者の手に追随するエージェント群を実時間で投影するための映像を生成する。 主催者からの招待により、8月にドイツ・ドルトムントで開催されたISAE RUHR 2010および11月にドイツ・アウグスブルグで開催されたlab 30にて本作品の展示を行い、来場者からも良い評価を得た。 同時に対話型進化計算を用いた動画の品種改良システムについて、遺伝型である関数表現を実行中にシェーディング言語に翻訳し、グラフィクスプロセッサの命令に変換することで、実時時間描画のプロトタイプを作成し、インタラクティブ・アートへの応用に目処をつけた。
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