昨年度に作成した卓上型のインタラクティブ・インスタレーションCyclesについて、平成22年度中に行なった、ドルトムントでのISEA2010、アウグスブルクでのlab.30、および平成23年度に行なったポーランド・ヴロツワフでの WRO 2011における展示の結果をもとに、鑑賞者の自己認知および社会的存在の再考を誘導する作品として、人工社会シミュレーションと植物の発達モデルを取り込んだ新たな作品の設計と試作を研究協力者Daniel Bisigと共に行なった。 3次元画像認識装置の利用については、レーザプロジェクタとの組み合わせによる複雑な3次元立体表面への投影について検討を進め、簡単なプロトタイプシステムの試作を通して作品としての実現における問題点を洗い出し、技術的実現は可能だが、鑑賞者との相互作用の方法について更なる検討が必要との結論に至った。 当該研究課題における成果を応用した作品について、ニュー・メディア・アートの基礎分野についての国際会議Conscious Reframed 12にて、研究協力者と共に発表を行ない、当該研究課題が芸術分野の専門家からも一定の評価が得られ、芸術の理論的側面においても重要な議論の題材を与えることを確認した。なお、WRO 2011では、来場者の投票に基づく「聴衆賞」を獲得した。 対話型進化計算を用いた動画の品種改良システムについて、実時時間描画を応用した完全オートマチック・アートおよびライブ・パフォーマンスのためのシステムを構築し、計算美学国際ワークショップ、芸術科学会、進化計算シンポジウム、生成的システム(Generative System)国際会議にて発表を行なうと共に、ライブ・パフォーマンスを実施し、聴衆から一定の評価を得ることができた。
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