専門分野の研究者等が協働参画して情報と知識を蓄積し、その情報知識を発信提供することによって研究者を支援し、また研究者の研究上の発想を支援するシステム(以下、本システム)の基幹となる部分:情報・知識の蓄積部、その検索・提供部、研究発想支援部を開発することが本研究の目的である。 各種関係機関が個別に作成した情報群を蓄積し、検索して地図上に表示する地理情報システムについては、インドネシアの津波とその復興情報を連携して表示するシステム機能を開発し、22年8月に国際会議で論文を発表したが、その過程の中で、復興事業と情報作成を担当した多種多様の組織が復興終了と共に解散したため、多種多様な情報の個別管理運用システムも次々消滅したことを知った。そこで、本研究で収集した多種多様な情報を管理運用できる統合型情報システムを今年度試作した。同システムは本研究で重視しているSOA機能も用いている。インドネシアでの運用保守を想定し、DBMSはPostgreSQL、GISソフトウェアはESRI社の製品(筑波大学に研究用にライセンス契約された製品)を用いてシステム開発した。この研究成果は英文論文に纏めて学術雑誌に24年3月初旬に投稿した。 なお、22年度に研究開発した「Google Maps APIを用いる北海道の野鳥分布および関連情報の表示システム」は23年5月に開催された情報知識学会第19回年次大会で論文として口頭発表し、その予稿が情報知識学会誌の21巻2号に掲載された。同論文はSOA機能を活用した点、情報知識発信提供システムに研究者の類推や発想を支援する機能を導入する有用性を示唆した点に特徴がある。
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