研究概要 |
本研究課題「批判的図書館史研究の構築」では、以下の2つの柱を据えて、具体的に批判的図書館史研究の業績を世に問うことで、図書館学研究の全般的レベルを上げることを目的にしている。 (1)図書館史研究の学説史的研究(全体研究) (2)批判的図書館史の研究(個別各論研究) そのために吉田右子(筑波大学)、小林卓(実践女子大学)、三浦太郎(明治大学)を連携協力者に、安里のりこ(ハワイ大学)と研究協力者としてチームを組んだ。 本23年度はこの研究プロジェクトの最終年度にあたり、これまで2年間に行ってきた研究のまとめを行った。上記(1)「図書館史研究の学説史的研究」(全体研究)については、昨年度に川崎が具体的に原稿を執筆して完成の域に達していた。(2)「批判的図書館史の研究」(個別各論研究)については、昨年度に「ウェイン・ウィーガンドと図書館史研究」(川崎)、「公立図書館史研究におけるジェンダー」(吉田)、「クリスティン・ポーリーと図書館史研究」(吉田・川崎)を発表し、その検討を継続的に行った。 また8月には相関図書館学方法論研究会と国際図書館フォーラムを実施した。国際図書館フォーラムではアメリカや中国などからの研究者も参加して、図書館学研究について意見を交換した。以上のような研究経過を経て、最終的な成果物として以下の図書を刊行できた。 川崎良孝・吉田右子『新たな図書館・図書館史研究:批判的図書館史研究を中心として』京都図書館情報学研究会発行、日本図書館協会発売,2012,総402ページ. 本プロジェクトについては、上記の単行書が最終的な成果であり、図書館・図書館史研究の変遷を最新の研究状況も加味して研究史としてまとめることで、今後の研究の基礎となる業績を公刊できたと自負している。
|