平成21年度は、初めの計画とは少し順番を変え、(1)イギリスのブックスタート関連の資料を収集すること、(2)日本の国語科教育における読書の位置づけに関する文献収集と分析を行った。研究計画の順番を一部変更した理由は、英米の読書支援についての文献を調査する中で、日本の国語科教育における読書の位置づけがあいまいであることに気づき、その明確化を基礎に据えるべきだと考えたからである。 そのため、平成21年度には、(1)小学校及び中学・高等学校における国語科教育における読書指導の実態および課題、(2)小学校国語科教育における読解指導と読書指導の位置、(3)我が国の国語科教育で求められる読解力とOECDのPISA調査で求められる読解力の比較および読書指導との関係性把握、(4)日本の学校教育の中の読書支援における学校図書館の支援の理念とその実態、(5)読書活動推進施策の流れなどについて、主として文献を通して考察を行った。その結果、我が国の初等教育の国語科教育において求められている読解指導は、児童の読書生活の活性化に必ずしも連動する実践になっていないという課題、中等教育の国語科教育と読書の関連性は初等教育に比べて少ないという課題、また、この課題を克服するためにはPISA調査で求められている読解力すなわちリーディング・リテラシーを意識した実践化の必要性、学校図書館の役割についての理解促進と国語科教育との連携の重要性等が焦点化された。この点を具現化するために、図書館と初等科・中等科国語科教育がどのような形で連携することが可能なのかについて、次年度以降の研究を深化させていく視点としたい。
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