文献の引用データに基づいて大学研究影響度指標を導くことを目的として、以下の研究を実施した。 1.高等教育研究機関(大学等)の識別の研究と学会発表(日本図書館情報学会) 文献では著者が所属する大学等の表記は、多様に表記される。初めに、多様な表記から同名異機関、異名同機関を調査し、文献に現れる大学等を識別する手順を考察し、変換用の辞書を編纂した。次に、文献データから大学等について正式名称を調査した正答を作成した。その次に、Accessにインポートした文献データのフィールドと辞書間にSQLでリンクを張りクエリを作成し、正答と一致判定し、この行程を半自動化で繰り返した。その結果、正答累計率は97.7%にまで達した。 2.学術知識集積(ナレッジプール)を組み込んだ大学研究影響度指標の研究と学会発表(情報メディア学会) 文献に書かれた内容が頻繁に利用されたことによって、専門的な学術知識から一般化した学術知識をナレッジプールと定義した。全ての文献はナレッジプールを非明示的に引用し、かつ、ナレッジプールは全ての文献を非明示的に引用すると仮定し、文献間の引用関係から、大学の研究影響度を測定する指標を開発した。材料学と天文学における文献から測定された研究影響度指標の大学順位と、工学分野と物理学分野の大学ランキングとの順位相関は、単純な被引用数より、ナレッジプールを組み込んだ指標との方が、すべて高いことが明らかになった。 3.研究成果の執筆 本年度までに明らかになった研究成果を論文にまとめ、尚絅学園研究紀要に発表した。
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