研究概要 |
我々が文字情報を取得する何気ない行動プロセスを,OCRを用いた情景中の文字パターンを認識するシステムに導入することが本研究の目的である. この研究の目的に対して,平成25年度は,本研究経費で購入したカメラ付き移動用ロボットを用いて,文字情報が存在する位置への着目,確実に文字情報が認識できるまでの距離への自走移動の研究を遂行した. まず,文字情報が存在する位置の検出は,情景画像中から検出した閉領域に対して,文字列の普遍的な特徴に基づく文字列らしさの評価値を用いた.この文字列らしさの評価値が高い閉領域に対して,認識対象文字列であるか否かの判定に,認識対象文字パターンをマルチテンプレート化した辞書を用いたパターンマッチング処理を導入し,マッチング結果を参照しながら文字列パターンにロボットを自走しながらアプローチさせる手法を提案した. 提案に対する評価実験によって,文字列らしさのみでなく,パターンマッチング処理の結果を加えることでアプローチ精度が向上することが明らかとなった.さらに,斜め方向から文字列に着目した際の歪んだ文字パターンに対しても,歪を含んだ認識対象文字パターンをマルチテンプレート化することで着目精度を向上させることができた. 今後の課題として,平成23年度の研究成果である大局的な文字情報への着目手法と本年度の局所的な文字情報への着目手法を組み合わせたアルゴリズムをカメラ付き移動用ロボットに実装し,遠方に存在するため認識が困難な文字列に対する一連のアプローチ処理を実現させる.
|