今年度は、従来から本研究科で進められてきた『道法会元』の電子化プロジェクトにおいて構築されてきた、護符の一部を対象としたデータベースを拡張して、『道法会元』全体を対象としたデータベースを構築したが、それに際して従来のデータベース構成を再検討し、さらに護符を構成するパーツに対して振られていた、パーツ一つ一つに与えられるパーツID、および類似のパーツに対して与えられるパーツコードの構成を全面的に見直した。これによって『道法会元』全体にわたるパーツの分布状況やその特徴などに対し考察を行うことができ、さらに護符相互の距離の測定や相互関係の統計的分析を行うための環境を整えることができた。また呪術の理論を説いた文章について、主要なものについては日本語訳を進めるとともに、重要語句間の関係をクラスター分析によって樹形図に示す試みを行い、いくつかの方法を試みた。そして計算した重要語句間の関係に基づき、文章間の関係を樹形図に示す方法に関しても討論した。これらの方法を完成させることによって、『道法会元』に収録された諸呪術の関係・系譜について解明する重要な手がかりを提供することができるが、今年度はその準備を整えることができた。また実際に呪術を行う際の儀礼の順序についても。『道法会元』に収められた文献に基づいて考察を行った。以上のような成果については、データベース構成の再検討とパーツコードの見直し、その分布状況の考察については、論文を投稿中で、さらに本年3月には、台湾の国立師範大学において、海外協力者の謝聰輝教授の協力の下に、道教研究者や図書館情報學研究者の参加する研討会を開催し、今年度の成果を発表するとともに、今後の進め方について貴重な意見を徴するにとができた。
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