本研究の目的は、法廷弁論の教育支援のために、法廷弁論のシミュレータを開発すること、このシミュレータによって実際に利用される弁論デニタベース(以下弁論DBし記す)を構築すること、及び、その過程で得られたノヴパウや弁論DBの分析にまり、法廷弁論の教育方法に対する理論的基礎を与えることである。本年度は、まず、本年度までに実施した、法廷弁論の実習の詳細な記録を元に分析を行った。また、実際の裁判を傍聴して、より現実的な法廷弁論の様子も分析した。さらに、弁論内容の分析に留まらず、授業進行の様子も分析し、学生が陥るポイントや教育方法、及び、その背景にある理論についても分析を行い、これらの一部は論文としても公表した.次に、それらの分析を元に、どのうようなシミュレータを構築すべきか、要求定義を行った。これを元に、シミユレータの開発に着手した。本年度は、開発の初期段階であり、設計とプロトタイプの作成が中心であった。なお、プロトタイプとして、半自動の法廷弁論演習システムを開発し、実際に教育の中で利用した。この時、内部に蓄えられたデータは弁論DB用のデータとして利用されるものである。また、口頭弁論を実施した録画記録を元に、一旦、テープ起こしを行ってテキスト化し、さらに、上記プロトタイプの法廷弁論システムのデータとして再入力し直し、統一形式の内部データとして蓄積した。以上のような研究の実施によって、アドホックで勘に頼った、従来の法廷弁論の実習教育に対し、理論的背景を持ち、かつ、システマティックに教育を行うことができるための基礎固めに貢献できる。
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