平成21年度は、以下の機能の実現と精度を明らかにして、知的購買行動計測・予測システムを開発した。 1超音波センサを用いた顧客グループ認知システム これまで開発した既存の「顧客グループ認知システム」のレベルアップを図った。具体的には、改善対象の既存システムは、顧客の単一方向の移動にのみ対応した、いわば実験的なシステムであったが、本研究ではこれを双方向対応可能にすることで、小売店舗内の実状に即した、より実用的なシステムとした。本システムは、売場の天井に設置した超音波センサの下を通過する人物が、単独来店者か、あるいはグループでの来店者かの識別を行うものであり、小売業における販売促進策立案のための顧客属性データなどの提供を行うことができる。 2商品間の相関関係を取り入れた顧客購買行動シミュレータの開発 これまでに開発した「マルチエージェントによる店舗内消費者行動シミュレータ」の改善を行った。具体的には商品配置や売場レイアウトなどが顧客に及ぼす影響を観察するために、実在のスーパーマーケットの店舗の売場レイアウトを再現し、POSデータ(レシートデータ)分析から商品の購入状況を取り込んだ購買行動シミュレータを開発した。本シミュレータにより、POPの位置や売場レイアウトと商品配置の変更に伴う顧客の行動の変化を観察することができ、顧客の利便性と売上の2つの評価指標に基づいた最適な売場レイアウトを提案することができる。
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