研究課題
基盤研究(C)
エージェンシー感とは「行為を引き起こしたのは自分だ」という感覚のことである。エージェンシー感がどのように成立するかについては主に二つのモデルがある。一方の説では順モデルによる動作の感覚結果の予測がエージェンシー感の成立に関わっているとされ、別の説では行為に先行する思考とその行為が一致し、他に原因が考えられなければ、エージェンシー感が体験されると考えられている。本研究では、エージェンシー感を、より基底にある非概念的、かつ、前反省的な感覚運動レベルのエージェンシー感と、概念的かつ反省的なエージェンシー判断に分け、前者の指標として感覚減衰、後者の指標として顕在的なエージェンシー判断を用い、前者が主に順モデルによる予測と実際の結果の一致性に、後者が順モデルによる予測と実際の結果の一致性と先行思考と結果の概念的一致性の双方に依存することを示した。また、順モデルによる予測と実際の結果の一致性や先行思考と結果の概念的一致性などの複数のエージェンシー判断手掛かりのうち、どの手掛かりがエージェンシー判断に大きな影響を及ぼすかは、それぞれの手掛かりの相対的な信頼性如何であることを示した。
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