研究概要 |
代表者宮浦は、(i)前年度日本認知言語学会で発表したマルチ・ストーリー・モデルについて、ディスコース展開の分析を拡充して精緻化を図った('A preliminary note on multi-story model---how we see the world and express it'として『日本認知言語学会論文集』第10巻に発表)。STORYスキーマは、Schank & Abelson(1977)のscript theory同様、知識構造として捉えられているが、分担者宮原は百科辞典的知識の詳細な分析からリゾーム的知識構造を示唆した。今後STORYスキーマとリゾーム的知識構造の関係を探究する必要が生じた。(ii)名詞/動詞同形語については、特に名詞が動詞となる場合Langacker(2008等)の認知文法の記述では不十分であり、メタファ・リンク、メトニミ・リンクによる説明の必要性が明らかになった。(iii)接辞-ish,-like,-izedなどの分析をベースに論文「類似性と相違性---XがYのように見える時」をまとめ、認知意味論研究の中でも看過されがちなシミリに焦点をあて参照点構造として考察した。(iv)ディスコース研究に関わり発話行為を認知言語学的に再解釈した。コンテクストと認知について、国際学会Meaning, Context, and Cognition 2011(ポーランド、ウッチ大学、2011年3月)に参加し、認知語用論研究者との意見交換を行った。(v)認知言語学を英語教育に活かす試みについては、STORYスキーマを活性化させる英語教育の実践(中学2年生対象の授業)、言語単位(construction)をform-meaning pairingとする認知文法の観点からの音声指導のあり方の検討、reading comprehensionとimageryとの関係の考察を行った。(23年度日本認知言語学会において発表予定)
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