研究課題/領域番号 |
21500268
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研究機関 | 電気通信大学 |
研究代表者 |
田中 繁 電気通信大学, 電気通信学部, 特任教授 (70281706)
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研究分担者 |
宮下 真信 沼津工業高等専門学校, 制御情報工学科, 准教授 (20443038)
谷 利樹 弘前大学, 医学(系)研究院, 助教 (60392031)
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キーワード | 神経科学 / 自己組織化 / 視覚野 / 方位選択性 / 可塑性 / 発達 / グルタミン酸受容体 |
研究概要 |
既に我々は、シリンダーレンズを加工して作製した単一方位のみを視体験させる方位制限ゴーグルを発達期のネコに装着し、通常の飼育環境で母ネコと一緒に1・2週間飼育することによって、経験方位に反応する領域が視覚野に拡大することを確認し報告している。また、この方位選択性における可塑性には、NMDA受容体が関与していることを報告した。本研究では、他のグルタミン酸受容体の働きが方位選択性可塑性に影響を及ぼしているか否かを確認し、その結果を反映したモデルを構築することが目的である。そこで本年度は、浸透圧ミニポンプを用いて、幼若ネコの視覚野に代謝型グルタミン酸受容体(mGluR)阻害剤であるMCPGおよびMPEPを持続注入しながら、方位制限ゴーグルをかけたネコを1週間飼育し、方位刺激に対する反応の変化を内因性シグナルの光学計測によって定量的に計測した。その結果、NMDA受容体の選択的阻害剤であるD-AP5を持続注入したときに見られるような顕著な変化は計測されなかった。このことから、方位選択性可塑性を説明するためには、NMDA受容体の活性化の効果を主たる要因と仮定してモデル化することが重要であり、NMDA受容体の効果に基づいて精緻化してきた我々の自己組織化モデルが妥当であることが示された。この結果を踏まえて、本モデルを用いて数値シミュレーションを実行するためのプログラムの開発に着手した。また、開発中に派生するプログラムを用いて、方位選択性の可塑性以外のいくつかの現象についてのシミュレーションを実行し、発表した。
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