平成22年度は、視覚野ネットワークを考慮に入れて、シナプス拘束条件の強さを変化させたときに見られる受容野構造の変化をシミュレーションによって調べた。その結果、拘束条件が弱くなると受容野構造が乱れ、方位選択性が減弱することが確認された。同様に、Hebb学習項の大きさを減少させたときに現れる受容野構造の変化も調べたところ、一旦形成された方位選択性は比較的頑健に保たれることがわかった。これらのシミュレーション結果は、既に実験的に確認しているNMDA受容体の活性化をD-AP5によって阻害したときに見られる方位選択性の減弱をよく再現していることから、方位選択性における可塑性のメカニズムがHebb学習則に基づくものであることが予測された。
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