研究概要 |
我々(藤原ら,2006)は、平成16年度より,子どもへの絵本の読み聞かせを通した高齢者と子どもの世代間交流を主とする学校ボランティア事業「りぷりんと」を立ち上げ、その介入効果を検討している。「りぷりんと」は、高齢者による絵本の「読み聞かせ」をメインプログラムとし、選書や読み聞かせの練習、実演後の反省会など知的活動を定期的に行うボランティア活動を介入手段として開発したものである。すでに3年間の追跡を完了し,5年目の追跡に着手した。本研究では,この5年目の追跡を完了させ,高齢者の認知機能に与える中長期的なボランティア活動の継続効果を検討することを目的とする。今年度は,平成17年度から開始した2期生の5年目の評価と75歳以上の後期高齢者の6年目の評価を実施した。対象地域である全国3地域において、読み聞かせボランティアに参加する高齢者(介入群)と健診のみ受診する高齢者(対照群)の約80名に対し、記憶,知識,判断,言語,速度に関する個別認知機能検査(約50分)と日常の認知活動状況や記憶力の自己評価などを含む質問紙調査を実施した。現在までの5年間の追跡率は,ベースライン368名に対し146名の40%となった。引き続き3期生の評価を次年度に行い追跡を完了させる。さらに今年度は,認知機能検査課題の反復利用の問題や並行版のある記憶検査課題の並行性を検討し,採点法を整備し直した。また、対象者が地域でボランティア活動を継続参加できるよう、3地域のネットワーク化と連絡強化のための支援活動を行った。
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