平成25年度は、(A) 負荷量と尺度母数の関係が負荷のべき乗に比例する場合への拡張と、(B)コンポーネントの劣化量もしくは劣化量の代替量が観測される状況をモデル化し、劣化量の断続的な観測に基づく最適負荷配分とその統計的性質を検討すること、の2つに取り組んだ。(A)については、参考文献[7]でk=1の場合のみに得られた性質をすべてのコンポーネントが新品で始まるシステムのみではあるが、kが2以上の場合に拡張できた。しかしより一般の場合の証明は困難で、数値的な予想が残ってしまった。(B)コンポーネントの劣化量もしくは劣化量の代替量が観測される状況をモデル化し、劣化量の断続的な観測に基づく最適負荷配分とその統計的性質を検討すること、については一般の証明が困難であることが判明した。 そこで原点に立ち返り、本研究で用いている線形劣化モデルの、実際の問題への適用可能性を検証することにした。とある機器の稼働と故障の実績データに基づいて、負荷と故障の関係から区分的に線形な劣化モデルを定式化し、その故障の予測方法を提案できた。このモデルは負荷配分のベースとなる、負荷と劣化と故障の関係を定式化する。本件に関して国内の学会で2件、国際会議で1件の発表を行った。今後、一カ所につき複数台の導入がなされることが多いこの機器に関して、改めて寿命を延ばすような負荷配分を検討して行く。 また別の線形劣化モデルとして、時間尺度が多次元の場合のモデル構築も試し、国際会議で1件の発表を行った。 今年度の成果は、線形劣化モデルおよび区分的に線形な劣化モデルに基づく負荷配分および最適配置に関する、今後の発展に大きく寄与するものと考えている。
|