研究概要 |
Wicksell小球問題で,空間の球の直径の分布の右裾が十分大きな閾値以上では一般パレート分布に従うという極値理論に基づく統計モデルを考えた.このとき,与えられた体積中に含まれる最大球寸法と与えられた面積の平面と交わる球の最大寸法の予測方式を構成し,それらが実データ解析に適用可能であることを示した.この問題では閾値の決定が重要である.ここでは空間の球の右裾の分布として仮定した一般パレート分布の形状と修正尺度パラメータの推定に基づく閾値の新しい決定方法を提案し実データに適用しその有効性を示した. また,平面と交わる球の直径の分布に上と同様の極値理論に基づくモデルを仮定した場合についても予測方式を構成しその有効性を示した. 年最大降水量データのトレントを調べるためにスムージング法について研究した.極値データに関しては通常の回帰に基づくスムージング法は有効ではない.これを簡単なモデルの場合に理論的に調べた.一般極値分布の位置パラメータに線形回帰モデルを仮定し,推定しているものは異なるが,通常の直線回帰と最尤推定を行った場合の推定量の漸近有効性について調べた.形状パラメータの値が自然現象でよく現れるゼロの近傍では最尤法に基づく方がはるかに精度が良いことを示した. また,位置パラメータの線形回帰モデルの下で最尤法を用いる場合,形状パラメータの値がある負の値より小さくなる場合に位置パラメータの推定よりも平均の推定の方が精度が良い場合がある.しかし,自然現象では形状パラメータの値がゼロの近傍になる事が多い.したがって,通常は最尤法に基づく位置パラメータの推定を行えばよい事が示せた.
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