研究概要 |
日本全国50観測所以上の100年をこえる日降水量データがある.これらのデータからリスクの評価を行うために1年最大降水量のトレンドを検出することを考えた.そのために各年の上位r(>1)個のデータを用いる方法について研究した.年最大降水量は一般極値分布に従うとして,分布の位置,尺度,形状パラメータが年に依存するモデルを考え解析した.最適なモデルをAIC基準で求め,残差の分析を行った.結果はほぼ満足のいくものであった.一方,上位r個のデータを用いて局所尤度に基づくスムージング法のプログラムを作成しデータの解析を行った.スムージング結果をパラメトリック法で最適とされたモデルと比べてみた.概ね妥当な結果が得られた.これにより各観測所での年最大降水量のトレンドを統計的に把握することが出来た.今後の課題として,パラメトリック解析の結果とスムージングの結果を統計的に検定する手法の開発が必要な事が分かった 上に有界な台を持つ分布の上限の推定について研究した,母集団分布は負のワイブル分布の吸引領域に属するという,極値理論の一般的な仮定の下で,データの観測方法に応じた上限点の推定方法について調べた.先ず上位r個のみを観測する場合の分布について調べた.次に,上位r個のデータの組が観測される場合に,極値データのみを利用する場合に比べ漸近相対効率がどう改善されるかを情報量に基づいて明らかにした.また,閾値以上のデータに一般パレート分布を適合して分布の上限を求める方法と従来の方法を比較検討した
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