| 研究概要 |
本研究の目的は,コホート内症例対照研究データ解析において,遺伝子及び環境因子を含む因果推論的統計モデルに対する尤度比検定の検出力を算出する手法を構築することである.さらに,開発手法の汎用化を図るためアプリケーションを開発し,分子疫学調査の研究効率の向上をめざす.本年度は研究期間の初年度に当たることから,特に(1)コホート内症例対照研究の特徴の理解,(2)尤度比検定に関する統計的考察を重点的に行った.
(1) については,和泉と連携研究者の中地が中心となり,がんの分子疫学データを用いた統計的データ解析をとおして特徴を調べた.これは,コホート内症例対照研究の特徴を理解する上で重要である.(論文[1],[2];発表[1])
(2) については,和泉と連携研究者の藤井が中心となり,コホート内症例対照研究の検出力に関してサーベイを行った.次に,症例と対照の人数比を1:1とし,遺伝子及び環境因子を2値のカテゴリ変数とし,対照を無作為に抽出するデザインにおいて尤度比検定統計量のパラメトリックな分布を求めた論文を雑誌に投稿した(査読中).そして,イベントデータに対して尤度比検定統計量のノンパラメトリックな分布から統計的有意性を判定する方法について検討し,数値実験を行い手法の特性を調べた.これらは,提案手法を論文としてまとめる上で意義深い.(論文[3];発表[2];図書[1])
この他,本研究課題に間接的に関係するものとして,構造方程式モデルに関する成果(論文[4];発表[3])も研究発表欄にリストしている.
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