研究概要 |
本研究の目的は,データ解析システムにおけるコラボレーション支援機能のの提案を行い,その機能の設計と実装を行うことである.開発したシステムを,多くのユーザがインターネットを利用して自由に使用できるようにすることによって,本研究で考えている支援機能の有効性を検証することも目的のひとつである. 本年度は,サーバプログラムとクライアントプログラムの開発の前に,Jaspを利用したデータ解析のコラボレーション支援のために必要な情報の整理を行った.この後で,Jaspのインタプリタに必要な機能の検討とコラボレーション支援機能のために必要なネットワーク機能の検討もおこなった.その結果,本研究で想定しているクライアントプログラムとサーバプログラムとの通信には,Webサービスを利用することが適当と考えている. Jaspは,サーバ/クライアント型のシステム構成となっているが,複数のクライアント間で情報の共有を行うことは考えられていない.そのために,まず,現在のJaspのサーバプログラムとクライアントプログラムが保持している情報を基にコラボレーション支援のために必要最小限のものは何かを検討した. 次に,複数のユーザによって1つのデータ解析を同時に行うためには,排他制御を考えなければならない.これは,あるユーザが参照している変数の値を他のユーザが変更することを許可しないことや,計算結果をある変数に代入することによってすべてのユーザが参照できるようにすることなどである.このような機能をインタプリタが持つことによって,対話的に命令を実行してデータ解析を行う場合や事前に作成したプログラムを実行する場合でも,複数のユーザによる共同作業が可能となる. さらに,サーバプログラムとクライアントプログラムが持つ情報に矛盾が発生しないようにするための同期制御も必要である.あるクライアントプログラム上で変化した値をできるだけ早くサーバプログラムに送り,サーバプログラムはその変化をきるだけ早くクライアントプログラムに送る.そして,クライアントプログラムは,表示の更新を行わなければならない.データ解析を考えた場合には,変化する情報には,数値やグラフィックスなどになる.通信方法は,インターネット環境において,安全に利用できることと,高速な通信が可能でなければならない.
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